ごあいさつ
兵庫県病院薬剤師会は、2,000名を超える会員が兵庫県薬剤師会に入会し、強い連携基盤の上に3つの柱を打ち立て、絶えず最先端の取り組みを全国に発信してきました。
1つは「病院内のチーム医療における薬剤師職能の充実」、次に「地域医療連携における薬剤師職能の拡大」、そして「将来の医療を担う人材養成」です。これら3つを柱とした事業を、会員の皆様と一致団結して継承・発展させていく所存です。
特に、「病院完結型」から「地域完結型」医療への転換が加速度的に進められる中で、医療の多様化に対応する新たな薬剤業務の展開が重要になってきます。高度急性期病院、急性期病院、回復期病院、慢性期病院や在宅等において、安心で安全な薬物療法を継続的に実施することが求められており、病院間はもちろん病院と保険薬局、介護施設との連携や情報共有が極めて大切です。私たち病院薬剤師は病棟業務に加えて、入退院支援業務や新たな外来業務を展開し、『院内のチーム医療』から『地域における多職種協働マネジメント』に拡大していかなければならないと考えています。
一方で、地域医療構想が進む中、地域の病院、中小病院の多くは再編や機能分化で病床数が減少しています。そして、全国の病院の約30%は人口3万人以下の地域で、地域の暮らしを守るために頑張っています。また、全国で半数以上の病院では、病棟に薬剤師が配置されていないのが現状です。
そこで、令和2年度より先進的薬剤業務特別委員会を設置します。地域でのそれぞれの病院の機能を再確認し、その中での病院薬剤師の役割を議論していきます。私たち兵庫県病院薬剤師会の使命は、各施設での薬剤師の本来業務を充実させていくとともに、新たな業務展開を支援するためのノウハウをしっかりと共有し、それを地域に伝え地域全体をレベルアップすることであると思います。
次に、兵庫県薬剤師会との連携事業につきましては、この数年は様々な事業を展開しており、着実に成果をあげてきました。特に、2018年10月より厚生労働省が公表した「患者のための薬局ビジョン」事業として、兵庫県では薬剤師連携を進める人材育成、そしてオール薬剤師による入退院支援連携の構築を進めてきました。今後さらに、連携のための情報共有ツールを構築していくため、情報・薬剤師連携部を新設し、兵庫県下での薬剤師連携業務の展開につなげていきます。
最後に新型コロナ感染拡大への対応です。コロナ危機の中で、フェーズが混乱時期から対応時期にかわっています。ご施設におかれましては、感染対策、診療制限の苦しい状況の中で、それに負けない対応の質を短期に築いてこられたことと思います。
そこで、兵庫県病院薬剤師会では新しい研修システムを開始します。学会、研修会の多くが中止となっており、専門認定薬剤師制度の単位取得が困難となる薬剤師も多いと思います。この状況は今後も続くことが予測され、会員のアクティビティーを維持するためにも、オンラインでのライブ配信による研修会システムを構築します。コロナ危機の中で学んだ事により、薬剤業務のあり方を再考し、IoT化、ロボット導入などの検討を進めていくことが大切で、まさに新しい業務を発展させるチャンスです。
これらの事業を会員の皆様と進めていくため、組織体制も若い力に加わっていいただききました。多くのアイデア、地域からの意見を取り入れて、各委員会活動を充実するとともに、連携をとり横断的に会員の皆様の一助となるよう、どのような活動をしていくべきかを考えていきます。
兵庫県民・国民の方々の健康と最善の薬物療法の向上のために、素晴らしい執行部、役員陣、そして会員の皆様と一緒に頑張りたいと思っております。どうぞ、宜しくお願いいたします。
令和2年6月
神戸市立医療センター中央市民病院 薬剤部長
一般社団法人兵庫県病院薬剤師会 会長 室井 延之
定款
組織・役員
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